ホテルジューシー

 

ホテルジューシー

 坂木司 作

 角川文庫

 

待ち合わせに先に来ていた友人が読んでいたのがこの本。「この人の『ワガシノアン』」が面白かったから」と友人曰く。その日さっそく帰ってから図書館に予約を入れたのですが,かなりの順番待ちです。そのことを次に友人に会った時に話したら,「じゃあ,これでよければ読み終わったから貸してあげるよ」と言って,貸してくれました。

とても読みやすいので,確かに待ち合わせなどに読むにはちょうど良いかもしれません。

登場人物それぞれに共感できる部分があるのも面白かったです。

冒頭,「身の丈に合わないものを欲しがる人は嫌いだけど,物にも人にもいい加減な人はもっと嫌いだ」と述べている主人公は,物語の最後では「物に対しても人に対してもいい加減なふるまいをする人たちと付き合ってみたけれど,どうにかなった」と,考え方が少し変わりました。

ですが,いい加減な人はこの物語には出てこなかったような気がします。

世の中もっともっといい加減な人がいて,そんな人の手にかき混ぜられたら,台風にあったと笑っているどころか,竜巻に根こそぎ飛ばされていくような気がするので,この部分はあまり共感できませんでした。