逃れの森の美女


「逃れの森の魔女」

 ドナ・ジョー・ナポリ 著

 金原瑞人・久慈美貴 共訳

 

 「新聞広告クリエーティブコンテスト」というのがありまして,2013年のテーマは「しあわせ」。そして,最優秀賞を獲得した作品は桃太郎に父親を殺されたという鬼の子を描いた「めでたし,めでたし?」でした。当たり前のことが視点を変えることによって,全く別のものに姿を変えるという,考えさせられる作品です。

 さて,この小説も多くの人が知っている童話の魔女を主人公にした作品です。なぜ,魔女は森にいたのか…あたり前と思っていたことを視点を変えて考えていくと,一方的に悪者だった魔女の,哀しい物語となります。

 基の物語の主人公は後半になってやっと出てきます。

 原作の題名は「The Magic Circle」,直訳すると「魔方陣」といったところでしょうか。邦題は「逃れの森の魔女」。確かにこのほうが日本人受けは良いように思います。だって「眠れる森の美女」と似ていますからね。ただし,「眠れる森の美女」のパロディーではありません。

 森に魔女の家がある,あのお話です。