『前世への冒険—ルネサンスの天才彫刻家を追って』
光文社知恵の森文庫
森下典子 著
アイドルスターの郷ひろみと松田聖子の恋愛破局した時、ブラウン管の中で聖子ちゃんは「生まれ変わったら絶対彼と一緒になります」という名言を残しました。今からおよそ30年前の話です。
この影響でしょうか、生まれ変われるとしたら何がいいかなあ、なんてことを時々考えます。
男がいいか、女がいいか、日本人か、それ以外か…
でも、現世の自分は誰かの生まれ変わりなのかもしれないということは、あまり考えたことがありませんでした。
『前世への冒険』は著者が、雑誌の企画で「人の前世が見える」という女性に会うところから始まる体験記です。
ルネサンス期に活躍したデジデリオという美貌の青年彫刻家が前世だと言われた著者は、その人物を追ってイタリアやポルトガルまで行きます。
結局のところ、それが正解かどうかの答えが出るわけではないのですが、調べて行くうちに色々なことがわかってきたりして、ミステリー小説を読んでいるようにワクワクしてきます。
雑誌に載った体験記のほうはどんな記事になったのかも興味が湧きます。
私は誰の生まれ変わりなんでしょうかねえ。その女性に見てもらったらわかるかもしれませんが、「現世で苦労しているのは前世で相当罪深いことをしたからだ」なんてことがわかったとしても、どうにもなりませんから、知らない方が身のためかなあと思います。
生まれ変わったら…何に生まれ変わっても、人生思い通りにはならないでしょうから、できることなら意思も生命も持たない「モノ」に生まれ変わりたいです。