ホンバタカイギ

 一冊の本を囲んで集まった人たちで,おいしいものを食べたり飲んだりおしゃべりしながら,楽しい時間を共有するのが「ホンバタカイギ」です。

 読書座談会のようでありますが,本についてじっくり話すというよりも,スタート地点のその本から,脱線したり,思いもかけない話に飛躍して,とんでもないところに着地したり…そんな効果を楽しみたいと思います。

第三回『年をとったワニのはなし』@ホフブロウ

(勝手にコラボヨコトリ編)

 今回のホンバタカイギはヨコハマトリエンナーレの「敏腕サポーター」Kさんよりの依頼で,ヨコトリのテーマ「接続と孤立」をキーワードに開かれることとなり,ヨコトリのプログラムの一つ「ヨコハマスクリーニング」で取り上げられている映像作品の「年をとった鰐」あるいは原作の「年をとったワニのはなし」を肴としました。

 場所は開店当時から「接続と孤立」を日常的に繰り返すドイツの船員さんたちに愛され,70年もの歴史を持つ「ホフブロウ」です。

参加者はKさん率いるサポーターチームの方々。ほとんどの方がはじめましてなので,ホンバタカイギの本来の趣旨「脱線」が滞りなく行えるよう,脱線グッズもいくつか用意していきました。『かいじゅうたちのいるところ』はKさんから開催直前に現代美術家のDavid Shrigley (デイビット・シュリグリー)が作った「Blur - Good Song」という映像作品(衝撃的映像なので,リンクは貼らないでおきます)を教えていただき,リンクするセリフがあったので急きょ準備しました。

 もはやこちらがメイン目的ではとも思える「スパピザ」の鉄板に張り付いたチーズをへらでがりがりしながら,ゆるゆるとホンバタカイギスタートです。

 余談のつもりでふった恐竜「カルカロドン・メガロドン」の「ドン」とは歯の形による分類であることがわかり,そこから鰐の咀嚼の話に続いていきました。

 「カニバリズム」や「遺髪お守り」,「人間の味は何の味に最も近いかという研究」,「体液をサンプリングする現代アーティスト」などなど,皆さんさすがいろいろなことをご存知で,話は尽きません。

 Kママさんに連れられて参加のK姫も,なかなか子どもらしくも核心をついてくる発言で,カイギを楽しく盛り上げてくれます。

 ここで,「自分は鰐派か,蛸派かどっち?」という質問に,Fさんは迷わず「蛸」,Kママさんも「蛸かなあ」,Kさんは「気づかないうちに全部食べてそうな鰐」,「蛸ですねえ」とTさん,私は「始めは蛸でいようと思うけど,それに飽きてきて最後は鰐」とそれぞれ答えます。K姫は「鰐はバカ,気づかない蛸もバカ,どっちも嫌。私はウサギがいい」という破天荒な答え。(でも,ウサギっていくら食べても満腹感を得ることができないそうですよ。)

 Tさんはずっと「鰐」が何を象徴としているのか,なぜ赤くならなくてはいけなかったのか,ずっと気になっていたそうなんですが,話が脱線してなかなかそこにたどり着かず,とうとう本のあとがきを読んで自己解決!それを発表してくれました。ワニは「大英帝国」で赤は「マルクス・レーニン主義」のいわゆる赤なんだそうです。 そうすると,蛸は植民地を表しているのでしょうか。なぜ,神としてあがめられた後に捧げられるのが若い女ばかりなんでしょうか。

 納得するも新たに疑問が沸き上がります。

 そして,蛸が勘違いしていた自分の足の数「12本」にも実は深い意味があるのかも…というあたりで,残念ながらお開きの時間となりました。

 今回はテーマが先に決まっていて,それから肴の本を決めるという形でしたが,なかなか面白いアプローチでした。

 公式イベントにならずとも,「ホンバタカイギ勝手にヨコトリ編」は恒例開催できたらよいなあと思います。

 Kさんはじめ,ご参加してくださった方々,ありがとうございました。

 

第二回「博士の愛した数式」@17CAFE

 今回のホンバタカイギは,ランチをしながらにぎやかな会となりました。子連れでの参加者もいて,その子の遊び相手をかわるがわるしながら,「博士がルートを大切にした思いもきっとこんなだったのかなあ」なんて考えることができました。

 いろんな立場で楽しめ,おだやかで美しい物語だね,というのが全員一致の感想です。

 みんなそれぞれ気になる箇所が違うものの,義理姉と博士の関係については皆気になっているようでした。一番思わせぶりにかかれていますものね。私と博士の関係を勘ぐって怒った義理姉を,一瞬でおさめた博士からの数式メッセージも,「本当にあんな数式が存在するのかしら」とか「あの数式にはどんな意味があるのかしら」と話が一番盛り上がりました。

 話は少しそれますが,参加者それぞれの本の読み方の話も面白かったです。

 今回は2回目ということもあり,実は開催場所にもちょっとしたこだわりがあったのです。囲む本と何かしら関連のあるところが良いなあと思い,選んだのが17カフェ…「イチナナカフェ」と読むのですが「ジュウナナ」と読めば17は素数!…という訳です。

 そして,これはカフェのオーナーにこっそり教えてもらったのですが,「17」はオーナーにとっては思い入れの強い数字で,しかも「博士の愛した数式」にとても関係のあることにまつわる数字なのですよ。

機会があれば,是非,17カフェに行って確かめてみてください。

 長居をしても笑顔で対応して下さったカフェの皆様,ありがとうございました。

 そして,忙しい中でご参加下さった方々,楽しかったです。ありがとうございました。

第一回「華氏451度」@天青

 初回はレイ・ブラッドベリの「華氏451度」を囲んで,「良書らしいけどさっぱり理解できない」という私,「前から気になっていた」というMちゃん,「日本酒がおいしい場所で集まるから」と誘ったYちゃん,SF伝道師のT氏の4人が集まり,湘南唯一の酒造所直営の創作料理店にて,おいしい料理と日本酒に舌鼓を打ちながらの「カイギ」でした。

 多種類の地ビールで何をオーダーしようか悩み,利き酒セットなるモノを頼んだりと,開始と同時に脱線していたような…。

 それでもいろいろな解釈があったり,それぞれ同じ本でも気になる部分が違ったりと,面白い発見がありました。

 T氏のSF愛好家ならではの奥の深ーい話も聞けて,私としては大満足です。

 今回の着地点は「大人になって良かった」ですかねえ。

 次回は何がいいかなあとどこで集まろうかなあ…と考えています。